「影響する」

Posted on July 20, 2012 by proedit


論文などでとくに頻度の高い動詞、名詞、さらに形容詞と、とにかくよく目にされるのが 「影響」 の二文字です。 それもそのはず、この二文字に関わる訳語の数の多いことといったら、また、それらの「意味合いは似ているのだけど、用途がちょっと違って」いたり、「用途は共通しているのだけれどニュアンスがすこし異なって」いたりすることからしても、日本語であればこの説得力のある文字を用いてしまえば、それとなく収まってしまうのですから、納得がいきます。 良い言葉です。さて、 ここで、ネイティブの書き手にもよく注意をうながされるのが、”effect” と “affect” の違いです。経験からして、外国語として英語をきちんと学んだ著者の方々の間でこの間違いは少ないように思われますが、ご存知のとおり、「影響を及ぼす」、「原因に対するその影響」、等の意味合いにおいて affect は verb、 effect は noun として用いられます。また、effect は verb として “bring about”(e.g., もたらす)と使用されることもあります。ここで、impact (v/n)、influence (v/n) なども候補にあがってきます。Influence はわかりやすいのですが、impact の用途には少し注意が必要となります。Impact の日本語訳は、名詞として「影響(力)、効果」、動詞では「影響を与える、及ぼす」、ですが、英語では、”to affect or influence” という意味合いの動詞としては使わない、ということになっています。テクニカルライティングでは、X had an impact on Y、とする場合、X affected/influenced/impinged on Y、といった表現が良しとされています。参考にしてください。

参照:The Elements of Technical Writing by Gary Blake & Robert W. Bly


英文校正 • 医学翻訳 のPEJブログより