wordiness ~くどい言い回し〜
Posted on June 30, 2013 by proedit
今回は短くてすむ言いまわしをリストアップしてみました。頻繁に指摘される例のいくつかです。
Posted on June 30, 2013 by proedit
今回は短くてすむ言いまわしをリストアップしてみました。頻繁に指摘される例のいくつかです。
英文校正 • 医学翻訳 のPEJブログより
Posted on June 21, 2013 by proedit
“There + Preposition” つまり、there の後に前置詞がつづく複合副詞 (e.g., thereof, thereupon, thereafter) ですが、日常的な使用はあまりすすめられていません。これらは、legalese (法律用語)とも呼ばれるように、文体を必要以上に堅苦しく (stilted)、古めかしい (archaic)ものにし、実際、文章の意味を変えたり曖昧さを増したりすること無く、省くことができるからです。ちなみに特許の世界では正式用語として頻繁に使用されるこれらの複合副詞は次のような意味でとらえられます。
thereafter ( その後は、それから先)
therein (その中に)
thereof (その)
thereto (それに、そこへ)
thereupon (その上に)
“there” が何をしめしているかわかりにくいこともあるので注意しましょう。
英文校正 • 医学翻訳 のPEJブログより
Posted on May 31, 2013 by proedit
前回は名詞のなかに動詞を探すことについてふれましたが、時にはあえて名詞の部分を訳さず、意味をとって翻訳することにより冗長表現を避けることができます。例えば、「構成する」「構成される」など、「構成」を含む言葉。「X するように構成される」は英語にすると “configured to X” (X は動詞) となるのでしょうが、これは冗長的です。そこで、あえて「構成」という言葉を訳さず、「X する」としてしまうことによりすっきりとした文章が作成できます。
Example 1: “This device is configured to receive multiple signals” -> “This device receives multiple signals”
Example 2: “The new structure is configured to allow interconnection of up to 1000 chips” -> “The new structure allows interconnection of up to 1000 chips”
他にも、”arranged to do” “adopted to do” “structured to do” “constructed to do” などが類似する冗長表現としてあげられます。ただ、最初に、まず除いてしまっても意味が通じることを確認することが重要です。例によっては、除いてしまうのではなく、これに当てはまる適切な日本語を文脈により決定することが必要となります。
英文校正 • 医学翻訳 のPEJブログより
Posted on May 19, 2013 by proedit
今回は使い過ぎに注意する単語、表現についてです。次の例文の訳を考えてみます。
「大腸癌の研究を行う」
このような文章はそのまま訳すのでなく、-> 大腸癌を研究する、と置き換えて訳すのが通常です。このように、perform、carry out、do などと訳すことのできる動詞は日本語では非常に頻繁に登場しますが、英文でもよくみられます。例えば、「申し込みをする」 (make application for -> apply)、「決定を下す」 (make a/the determination -> determine) など一語で置き換えられるケースが多々みうけられます。すっきりとした英文にさせるコツは、名詞のなかに隠れた動詞をみつけることです。上記の例では研究、がそのまま「研究する」という動詞に置き換えられます。
英文校正 • 医学翻訳 のPEJブログより
Posted on April 30, 2013 by proedit
動脈硬化は、不健康な生活様式に関連した現代の典型的な病態とされています。しかし、どうもこの病態が古代のヒト社会でも存在していたのではないかということを示す研究結果が最近発表されています。なんとそれはミイラの研究から明らかになったのですが [*1]、 ジャンクフードなど食せず、狩猟採集中心の’健康的’な世に生きる人々の間でも動脈硬化がありふれたものであったとすると、現在の冠動脈疾患防止の典型的なアプローチである、食事制限や運動による生活の改善が、その予防に果たしてどれほど有効であるのか考えさせられます。心疾患はなくすことができる、と思われてきましたが、その実際についても興味深いところです。
この記事はNatureに紹介されており[*2]、日本語、英語の両方の記事がインターネット上に提載されているのですが、ここで取り上げたいのは「動脈硬化」です。この「動脈硬化」、実はよくよく読んでみると特にアテローム性動脈硬化のことを示すことがわかるのですが、英語の記事ではタイトルから clogged arteriesとあるように、arteriosclerosis (一般に”動脈硬化”)ではなく最初からatherosclerosis (アテローム性動脈硬化)が使用されています。ここで少し気になったのは、動脈硬化は一般的な名称で、その種類にはアテローム性粥状動脈硬化、細動脈硬化、中膜硬化などが含まれているのですが、とくに注記のない場合はアテローム性動脈硬化を指すことが多いということです。日本の動脈硬化性疾患予防ガイドラインの正式英訳も”Japan Atherosclerosis Society (JAS) Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases”となっています。ここでは、英語タイトルの、clogged arteriesという表現により示唆されるように、この「動脈硬化」は、血管壁が老化などにより血管の弾力性失い硬くなる症状のことではなく、動脈が詰まり動脈内径が狭くなり、動脈壁が硬くなる症状についてであることが伺われます。このような細かい違い(特定の表現によって示唆される)は専門的な文献では特に注意しなくてはなりません。
参照:
*1 Thompson, R. C. et al. The Lancet http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(13)60598-X (2013).
*2 Nature: doi:10.1038/nature.2013.12568
Posted on April 21, 2013 by proedit
前回は、文章上の分かりやすさについてみてみましたが、ここでは 内容を明確にするための効果的な書き方について考えてみます。ここで注目したいのは、1文が簡潔でありつつも完全である、という点です (“telling the whole story using the fewest possible words”*)。 内容がつかみにくい文章がどうしてそうなのか、と考えてみると、 文章が長くて、あるいは冗長的でわかりにくい、というケースに加え、逆に短く簡潔であっても、なにか重要なピースが抜けているため全体的な意味がつかめない、曖昧な語が使われていて意味が特定しにくい、馴染みのない言葉や専門用語により文の流れが分断される、といったケースも考えられます。 そこで、すすめられるのが、(1)シンプルな用語を使う(珍しいsynonym、不必要なフレーズをあえて使わない)、(2)1つのセンテンス(パラグラフ、チャプターも)につき、ひとつのアイディアに制限し、長いものは論理的に2つにわける、(3)専門語(jargon)をなるべく使わない、あるいは最初に一度だけきちんと定義/説明しておく、という3点です。科学者は、時に、難しい専門用語がずらりと並んだ長く複雑な文章をあえて作成すると指摘されがちですが、そのような難解なトピックを一番わかりやすく、簡潔に伝えることができるのはそのトピックに精通した著者本人なのです。
* “The Element of Technical Writing” – Blake G and Bly RW (1993)
Posted on March 31, 2013 by proedit
文章のわかりやすさに関しては、「こうする」、というよりも、「こうしない」、というルールに従うのがより効果的だと思います。まず最初にコミュニケーションの観点から何を伝えるのが目的なのかをはっきりさせることです。次にどうすればその意図が伝えられるかを考えます。テクニカルライティングではこれは簡潔に、論理的になされるべきだとされています。つまり冗長的、故意に装飾的な表現はさけたほうがいいということになります。この簡潔さ、論理的な文章構成が、効果的な、コミュニケーションを念頭においた科学的な文章につながるというわけです。日本語との違いをふまえた、基本的なルールをいくつか探してみました。まず第一に、主語と動詞をできるだけ離さない、ということです。英語の読み手は、行為者のすぐ近くに行為が言及されるスタイルになれています。これに関連して、複雑主語(節によって修正される主語など)はできるだけ使用しない方がいいようです。日本語の文章をそのまま英訳するとこのルールに反した英文が出来上がります。第二に、できるだけ受動態を避けることです。これも日本語の表現に慣れた書き手には意識的なスタイルの修正を要する点のひとつです。能動的表現がclarityを向上させるのは明らかですが、字数が減るという点でも全体の簡潔さにつながります。また、よく、科学分野では “active voice” を使わないものだ、と思われていますが、現在、Sicence、Natureなどの多くのジャーナルで active voice の使用が薦められています。最後に、曖昧な用語や表現を極力避けることです。”Various reasons” “etc.,” “somewhat/slightly/much more” などの曖昧な用語が文章の曖昧さを増す要因になるからです。定量化された比較表現や、短くてもはっきりと述べられた理由、原因は文章を簡潔にするだけでなく科学的にも説得力をもたせます。また、非指示的 (nonreferential) な “this” “that” “these”などの使用も避けるべきです。
次回は、 「内容上のわかりやすさ」 について考えてみたいと思います。
Posted on March 22, 2013 by proedit
論文校正では、ただグラマーやタイポグラフィカルエラーを修正するのみでなく文章の流れ、明瞭さを向上することを大事な目的としています。ここでは、サイエンティフィックライティングにおけるClarityとは何を意味しているのか、またそれがどのように改善されるのかを考えてみたいと思います。
まず第一に、書くこと自体の目的ですが、学術論文を書くのは記録を残す為でしょうか?または、研究成果を(正式に、出版という形で)確立させるためでしょうか?私は、一番大事なのは、論文を書くのはコミュニケーションのためだということを常に頭に置いておくことだと思います。それにより効率的なライティングの具体的な方法がはっきりしてきますし、またそのように書かれたマニュスクリプトは結果的に受けいられやすくなると思います。
この観点からclarityとは実際何を意味をするのか考えてみると、”わかりやすさ”という一点にたどりつきます。そこで次回はこのわかりやすい、という書き方を、「文章上のわかりやすさ」と「内容上のわかりやすさ」によってどのように向上させるかを課題として見てみたいと思います。
Posted on February 26, 2013 by proedit
論文やケーススタディーにおける、年齢に関する記述のスタイルは様々です。そこで、いろいろな年齢の記述形式を文献から拾いだしてみました。まず、60歳以上の患者が対象の場合、次のような記述が可能です。
patients are aged over 60
patients aged 60+ years
patients over 60 years of age
年齢の範囲を示す場合は、次のようになります。
18- to 35-year-olds
children aged between 6 and 30 months
all citizens between the ages of 40 and 74
平均年齢の記述は、文章で書き出すこともありますが、括弧にいれる形式もよく見られます。これは簡潔でアブストラクトなどでは特に有用です。
students with a mean age of 19.7+/-0.9 years were…
Eighteen patients (16 women, 2 men; mean age 46 years)
最後に、以外とよく間違われるのが、ハイフンのいれかたです。この際、ハイフンは、年齢(数字)と”years old” をすべてつなぐように入れられます。例えば 50歳、は “50 years old” ですが、50歳男性、の場合、 “a 50-year-old man”となります。ここで注意するのは years が year になるという点です。これはハイフンで数字と単語をつなぐ時の一般的なきまりですが、間違いのないようにしなくてはいけません。
Posted on January 31, 2013 by proedit
言語は進化するものなので、英語のグラマーについて言えば、昔の決まり事が今では適用されていないことも通常です。従って、スタイルブックが存在し、ガイドラインが参照されます。
ところで、どうみてもおかしな言葉がありますが、それが何重にもおかしいというのは稀です。この間ふとみかけたフレーズで、気になったのが、
アポトーシスをプログラミングされている
です。実はこれが目にとまったのは、個人のブログサイトなどではなく、れっきとした(オンラインでフリーだとしても)新聞記事の一部です。著者は、たぶん半分冗談で、「電化製品がひとつ壊れるとみんな壊れる」的現象を生物学でいうapoptosis (= process of programmed cell death [PCD]) になぞらえていたのですが、英語の表現に慣れている者からすると、どうもおかしな文章です...