Conflict of Interest

Posted on January 27, 2017 by proedit


新しいアメリカ大統領の登場に伴い、様々なニュースが飛び交う中で、Conflict of Interest (COI) に関する問題点が注目を浴びています。

これは、”利益[利害(関係)]の衝突、利益相反” を意味し、Competing interest とも呼ばれています。

名高いビジネスマンである新大統領が、たとえ、ビジネスマンとして活躍することから自身を遠ざけてたとしても、その背後に(自分のなまえのついた)ビジネスエンパイアが存在する限り、彼が大統領として下す判断や果たす役割に、その影響が必然的に現れるのではないかという懸念、その危害および倫理的問題点が、着任前から日々議論されています。

この問題はとても混みいっていて、その理由の一つは、COI自体がわかりにくいところにあるのではないかと思います。

そして、COIに関する倫理的問題点は、サイエンスの分野にも共通しています。

論文投稿経験のある方にとっては、この「COI」という言葉は馴染み深いのではないかと思いますが、同時に、なんとなく良く分からない、という人も多いのではないでしょうか。

投稿にあたり、著者は、その研究に対する利害関係を全て開示することが求められています。

この「利害関係」には、金銭的なもののみならず、個人的関係といった、その研究にバイアスをもたらす可能性のあるもの全てが含まれています。

そのため、利益相反開示に関するバイオレーションは、故意に行われるというよりも、その関係を自身が認識していなかった、という場合が多々あるようです。必ず、各ジャーナルガイドラインを確認することをお勧めします。

また、開示方法は、国際的指針として提唱されています。

ジャーナルによっては方針についての記載が曖昧で不明瞭なこともありますので、ぜひこの機会に一見することをお勧めします。


参照:International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE):

http://www.icmje.org/conflicts-of-interest/


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Political correctness ー sensitivity in writing

Posted on December 11, 2016 by proedit


最近、日本でも英語のまま使われることが多くなった、Political correctness、ですが、これは、言葉や表現が公正、公平であることを意味します。

Politicalーつまり、政治的な場面だけでなく、社会的にも、中立的であること、また、偏見や差別を反映、許容、増長するような表現や言葉遣いをなくす運動につながっています。

多人種多宗教という理由だけでなく、様々な人権運動が盛んである国、アメリカがもとですが、実は日本でもずいぶんと広がっているのです。

例えば、看護婦、保母さん、は現在では、看護師、保育士。クレヨンの肌色も最近ではペールオレンジと表記されています。

医学用語や、サイエンスの分野(生物名など)でも数々の補正がなされていますが、これらを知っておくことが大事です。

また、ライティングの面でも、“writing that does not indicate bias” が重要視されます。

サイエンティフィックライティングでは、文章が正確で簡潔であるだけでなく、主観を省き、偏見のない書き方をする事にも注意が必要なのです。

(i.e., avoid prejudice, biased, overtly sexist or racist language)

分野によっては、特に配慮を要するので、無意識に読み手に間違った印象を与えてしまうことを避けるためにも、Sensitive writing を心がけましょう。


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Response letter

Posted on November 2, 2016 by proedit


原稿の修正版を再投稿する際、編集長や査読者の指摘やコメントに対する返答レター(Response Letter)を用意することが必要になります。


Response Letter では、査読者らへの感謝の言葉から始まり、ポイントアウトされた点の一つ一つに対し、詳細な答えを用意したこと、再度提出する原稿は、これらのコメントを十分に考慮、反映したものであることなどを明示します。Revision にあたっては、査読者からのコメント、指摘の内容、その意図を正しく理解し、それらに丁寧に対処していきます。質問に対しては、はっきりとした簡潔な答えを用意し、訂正の要求には、それにどう対応したかを述べ、さらに訂正箇所をわかりやすく提示することが求められます。不十分、不適切な対応はもちろん、まわりくどい説明や、的の外れたレスポンスも再度の request for revision につながるので注意します。ここでは Response Letter の書き方の要領をまとめてみました。


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Re: Revised Manuscript Ref. No.: XXXXX


Dear Dr. XXX,


Thank you very much for reviewing our manuscript entitled “XXXXXXXXXXXXXXXXX”.


まず、一般的にこのような始まりでレターを書き始めます。Thank you… に関しては、いろいろありますが、”…and providing us with detailed suggestions on how to improve our manuscript” などが適宜つけくわえられます。


例2: Thank you very much for your thoughtful comments and helpful suggestions.

例3: We wish to express our sincere appreciation for the Reviewer’s insightful comments, which have helped us greatly improve the manuscript.

例4: We thank you and the reviewers for the helpful comments on the original version of our manuscript.


そして、コメントに従って論文を見直し訂正、修正を加えた旨を述べ、コメントに対するレスポンスを添付してあることを伝えます。


We have addressed all the comments expressed by the Editor-in-Chief and reviewers, as indicated on the attached pages, and hope that the explanations and revisions are satisfactory.


例2: After manuscript revision following a thorough consideration of these comments, we hereby submit the revised version for your review. Below are our detailed point-by-point responses to the Reviewers’ comments.

例3: We have revised the manuscript according to the Reviewers’ comments. Please refer to our detailed point-by-point responses in the attached pages.


最後にお礼の言葉で締めくくります。


We hope that you will find [our changes satisfactory / our revised manuscript suitable for publication in XXX] and that our revised manuscript is now acceptable for publication in your journal.


We look forward to hearing from you at your earliest convenience.


Sincerely yours,


XXX

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Point-by-point responses では、修正箇所を含む全文を赤字などで添えることも可能ですが(例1)、訂正/修正を含む文が長い場合や、数が多い場合、リバイズ版の訂正箇所を赤字などで区別した上で、次のように、修正箇所のページナンバー、ラインナンバーをカッコで記すという方法をおすすめします。


例1: Thank you for your excellent comments and suggestions. I have implemented them in the revised manuscript (red font), as detailed below.

例2: Thank you for pointing that out. We have corrected the sentence accordingly. (page…, line…)

例3: In accordance with the Reviewer’s comment, we have changed ‘significant’ to ‘significantly’. (page…, line…)

例4: The paragraph has been revised accordingly. (page…, lines…)


査読者からの要求を満たさずにリバイズ版と返答レターを提出した場合、不受理となる確率が高くなってしまいます。英文コメントの意図が分かりにくことも多々あるので、当社では、ピアーレビューを経て再投稿段階にある原稿のためのオプションサービスとして、再投稿用の技術的コメンタリーを行っています。リバイズされた論文に査読者や編集長が要求した変更が加えられているか、返答レターの内容が査読コメントに的確に添ったものであるかを細かく点検します。ぜひお試しください!


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A day in the life (proeditor’s photolog)

Posted on October 14, 2016 by proedit


New photo update from our editor!

This page gives a glimpse into everyday lives of our editors, through casual and random snapshots of scenery and objects.


proeditor’s photolog

校正者が日常の中で出会った何気ない景色や自然を切り取った一枚が届きました。

上記リンク先のページでご紹介しております。


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Vigorous writing is concise

Posted on September 30, 2016 by proedit


Omit needless words (必要のない語は省く)


“A sentence should contain no unnecessary words,

a paragraph no unnecessary sentence,

for the same reason that a drawing should have no unnecessary lines

and a machine no unnecessary parts.”


非常によく参考にされる、”The Elements of Style” (by William Strunk, Jr) にこうあります。

アメリカンイングリッシュライティングの古典的テキストとして何版も刊行されていて、オリジナルはなんと、1918年までさかのぼります。

スタイルブックとして、100年も前に書かれたものはどうなのか、と思うところなのでしょうが、TIME紙に “a now revered guidebook outlining essential rules of the English language” と紹介されてるように、この本にあげられる rules of usage and principles of composition は実に普遍的なのです。

著者は、1957年に原作を改訂し (the first edition of the so-called “Strunk & White”)、その本は、1923年以降書かれた最も影響力のある100冊の英語の本の一冊 (2011年)とされています。

非常にわかりやすく、簡潔で、すぐに即戦力につながるので、是非試してみることをお勧めします。


さて、今回ブログのトピックに選んだ、”Vigorous writing is concise” というのもこの本からの受け売りです。


ちょっと言い回しを変えてみたり、どこかで聞いた表現を加えてみたり、と色々してしまいがちですが、センテンスに必要ない語句は一つでも含まれるべきではない、という基本的姿勢で、校正できます。

例えば、左、から、右へ。


question is as to whether –> whether (the question whether)

there is no doubt but that –> no doubt (doubtless)

useful for fuel purposes –> used for fuel

he is a man who –> he

in a hasty manner –> hastily

this is a subject which –> this subject

His story is a strange one –> His story is strange


なんとなく、要領がつかめたと思います。

そして、特に、the fact に関しては、すべてのセンテンスから”revised out”されるべきである、と述べられています…


owning to the fact that –> since (because)

in spite of the fact that –> though (although)

call your attention to the fact that –> remind you (notify you)

I was unaware of the fact that –> I was unaware that (did not know)

the fact that he had not succeeded –> his failure

the fact that I had arrived –> my arrival


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最近の研究より

Posted on August 24, 2016 by proedit


Scientific Writing の参考書、のようなものは多々ありますが、やはり、厳しい査読審査を通り抜け、実際に出版された論文をどんどん読んで、自然な表現や効果的な文章構成などを身につけることも必要なのではないかと思います。

オンラインジャーナルなどで論文を読むことにより、分野内/外を問わず最新の科学的動向を捉え、ためになる情報を得ることもできます。

例えば、Nature 関連誌のコンテンツを日本語で毎週無料で提供するサービス、というのがあるのですが、これにサインアップすると、メールでそのリンクが定期的に送られてきます。

まず日本語で概要を読むことができるのですが、さらに、英語の原文へのリンクも載せられていますので、日本語と照らし合わして、実際の英文を読むことができ、いろいろと勉強になります。


今回、2016年8月17日の Nature Communications より、個人的に興味のあったことがらについての論文が発表されていたことを知り、その記事と原文を拝読しました。

興味深いトピックなので、ここで紹介させていただきます。


野生ミツバチの個体数減少、は世界規模の問題です。

米国では、なんと、野生種のミツバチは今ではほとんど存在しないと言われ、日本でも、2009年に長崎県などでミツバチの大量死が発生しています。

この現象、Colony Collapse Disorder、CCD、よばれていますが、未だその原因や、実際の問題に対する関連性など、不可解な部分が多いようです。

ハチの消滅や、ポピュレーションレベルでの減少に対して、他の種ほど注目を集めている様子がないのですが、実際、農作物への影響は計り知れず、“save our bees” = “save our agriculture”といわれるほど深刻な問題なのです。

現代のフードシステムは事実上、この媒介要素なしでは “unsustaintable” と言っても過言ではありません。

それ以前に、大量のハチがこの世界から消えている、でもその理由が定かではない、というのは、なんとも恐ろしいことです。

これまで、様々な short-term small-scale exposure studies により、Neonicotinoid という農薬がその現象に強く関連していることが示されてきました。

農薬というより農毒、とまで言われるネオニコチノイド系の農薬は、2008年には種処理の世界マーケットの80%を占め、インセクティサイド世界市場の24%を占めているのですが、今回の発表により、これが野生ミツバチの群集に持続的な長期的影響を及ぼすということが、18年越しの研究により実証されたということです。

これにより、この深刻な “eco-calamity”の問題解決に一歩でも近づけたことを祈るばかりです。


参照:http://www.nature.com/ncomms/2016/160816/ncomms12459/full/ncomms12459.html (原文)


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Academic Phrasebank

Posted on July 19, 2016 by proedit


アカデミックライターのために、言い回し、語法、言葉づかいなどが、リサーチペーパー/論文の主なセクションごとにリストアップされたサイトが存在します。

この、The Academic Phrasebank (http://www.phrasebank.manchester.ac.uk/) はまた、そのウェブサイトから PDFヴァージョンをダウンロードすることができるようになっていて、大変使いやすいので是非お勧めします。


Preface には、次のように記されています。


”The Academic Phrasebank is a general resource for academic writers. It aims to provide the phraseological ‘nuts and bolts’ of academic writing organised according to the main sections of a research paper or dissertation.

(一部省略)

The phrases, and the headings under which they are listed, can be used simply to assist you in thinking about the content and organisation of your own writing, or the phrases can be incorporated into your writing where this is appropriate. In most cases, a certain amount of creativity and adaptation will be necessary when a phrase is used. …”


このリソースは、主として、ノンネイティブのアカデミック/サイエティフィックライターのために考案されたそうですが、実際、ネイティブイングリッシュスピーカーにも大変役に立つということです。

上記に加えて、Preface に述べられているように、掲載されているフレーズは、コンテンツは中立的(ニュートラル)で、本質的に汎用性が高いので、分野に関わらず、実験的な研究を報告する際に言い回しなどの参考に使用できます。

また、剽窃行為とみなされる心配もありません。


ここで、”phraseological ‘nuts and bolts'”とありますが、この表現、“nuts and bolts of 〜”は、よく使われるイディオムで、ナットとボルト = basic working components or practical aspects として必要不可欠ーつまり、「詳細で実用的な情報で、ある物がどのように機能するか、または、ある物がどのように遂行されるかに関するもの」という意味を示します。


PDF Download version : http://www.kfs.edu.eg/com/pdf/2082015294739.pdf


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間違いやすい単語 2

Posted on June 17, 2016 by proedit


Relatively


論文中にも一般的にもよく見かける、Relatively という表現ですが、日本語の感覚で、「比較的」 というよりも 「わりと(割りと/割と)、」 という意味合いで使われるのでしょうか、

relatively favorable、relatively recent、relatively common、relatively simple….

など、多々用途が認められます。


ただ、正確な意味でこの単語は、comparatively と同様、何らかの比較や関係性の意味合いがない場合は使われるべきではありません。 副詞として形容詞を修飾するのに使用される場合、比較なしで使われることもあるのですが、その場合も何らかの相対的な意味合いを含むか、その意図が明らかでないと、文章が曖昧になってしまうおそれがあるので気をつけなくてはなりません。 例えば、


These factors may explain the relatively good correlation between X and Y.


この場合、この文に先立って、XとYの関連性を示す結果が述べられていることが想像されます。また、その関連性が他の例(XとZ、など)と比べ良いことが示唆されます。XとYのコレレーションが相対的に高くない場合、例えば、ここで比較されているのがXとYのみで、その関連性がただ”わりと高い”というときには使われるべきではないのです。よくあるのが、correlation が 認められ、でもそれが “significant” (統計的に)とまではいえない場合に、relatively が使われていることがありますが、その場合、何と比べてそう言えているのかが曖昧ですので、この表現は適切であるとは言いかねます。


The area of study was chosen for its relatively small field sizes.


In the literature on X, the relative importance of Y has been subject to considerable discussion.


上記の文例でも同様に、”sense of comparison or relationship” が明らかであることが relatively が的確かつ効果的に使用される条件です。


また、relatively は、文章全体を修飾して、「どちらかといえば..」の意味で使われることもあります。


She’s beautiful; relatively (speaking), I mean. (彼女は美人だ. もっともどちらかといえばだがね)


Relatively, the standard of living is rather high. (相対的に言えば生活水準はかなり高い) [2例ともweblio引用]


ただしこのような表現はサイエンスライティングではあまり好まれません。サイエンスライティングは明確簡潔であることが大事だからです。


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Trade names

Posted on April 30, 2016 by proedit


Band-Aid, Scotch Tape, Vaseline, White-Out….

これらに共通するのは、商品の名前がその「もの」自体をあらわす名前として一般的に使われるようになった、という点です。

Band-Aid は ‘bandage’、 Scotch Tape は ‘clear tape’、Vaseline は ‘petroleum jelly’、White-Out は ‘correction fluid’ というようにです。

ルールとして、このような trademarked products の trade names は、1文字目をキャピタルレターで書かなくてはいけません。 次にあげるのは、よく、汎用のものと間違われるトレードネームの数々です。


Bufferin – buffered aspirin

Frisbee – flying disk

Highlighter – yellow marking pen

Jacuzzi – whirlpool bath

Jell-O – gelatin dessert

Kitty Litter – cat litter

Magic Marker – permanent marker

Novocain – painkiller

Ping-Pong – table tennis

Plexiglas – clear acrylic plastic

Realtor – real-estate agent

Styrofoam – extruded plastic

Windbreaker – waterproof jacket

Xerox – photocopy


ではアスピリン、はどうでしょう? aspirin、borax、linoleum、dry ice、shredded wheat、trampoline などについては、トレードネームなのですが、現在、もとの製造業者との関わりがなくなってしまっているため、あえてキャピタルにしなくてもいいそうです。


参照:The Element of Technical Writing (Blake and Bly)


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A day in the life (proeditor’s photolog)

Posted on April 17, 2016 by proedit


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