Oxford comma

Posted on February 27, 2016 by proedit


Oxford comma、これは Serial comma のことですが、3単語以上が連なった時、最後から2番目の単語に続く ‘and’ の前におかれるコンマのことを指します。

このコンマについては、オプショナル、あるいは間違っているという意見(例えば、新聞では使われないケースが多いようです)が多々あるなか、ニューヨーカー誌では、原則使用となっているようです。NEYWORKER.COM/VIDEOで、この Oxford comma についての短いビデオが閲覧できます。 簡潔ながらわかりやすい説明でおもしろかったのでここで紹介させていただきます。

まず、こちらがその動画 “Comma Queen” なのですが、彼女は、Oxford comma は曖昧さを避ける (“prevents ambiguity”) ために必要だといっています。


例えば、次の一節のある部分では

ここでコンマをいれることにより、”engineer” and “military commander” が “parliamentarian” の定義のように取られてしまう可能性を回避した、と言っています。似た例でいうと、


“I found my cats, Michael, and Tom sleeping together in my bed.”


“I found my cats, Michael and Tom sleeping together in my bed.”


…コンマがないと、猫たちとマイケルとトムが私のベッドで寝ていた、のか、猫のマイケルとトムが私のベッドで寝ていたのかがはっきりしません。


ではどんな時にOxford commaが好まれるかというと、例として、Robert Frost の詩の一節から、

ここでは、書き手が意図的に、serial comma を省いています。これにより、in what way woods are lovely (‘dark and deep’) なのかが伝わってくる、ということです。つまり、lovely、 dark、 deep は3語ではなく、lovely、dark & deep の2語という扱いがされているわけです。


結論:”If you don’t want to use the serial comma, save it for some time when it really means something, when it really makes a difference.”


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“Unprecedented!” “Amazing!” “Novel!” – employing hyperbole

Posted on January 31, 2016 by proedit


「科学論文のアブスラクトにおいて、言い回しや言葉使いが、肯定的あるいは否定的な用語のどちらかに著しく偏っているといえるかどうか?」 という疑問が、Lexicographic analysisー著者らによるとーにより検討されています。 ちなみに、lexicography(理論的辞書学、と訳されます)とは、”ある言語の語彙目録(辞典)における意味論的、統語論的、そしてパラダイム上の関係を分析して記述するという学問の分野”を意味します。


結果は言葉で説明するよりも、図でみると非常にわかりやすいので、Nature から転用させていただきます。

参照:Nature: http://www.nature.com/news/novel-amazing-innovative-positive-words-on-the-rise-in-science-papers-1.19024

この研究では、PubMed 上の1974年から2014年までの科学論文アブストラクトをすべてさかのぼって解析したところ、過去40年で肯定的な用語の使用が2.0%から17.5% (880%の増加)まで増えていることがわかりました。25の肯定的用語のうち、“robust” “novel” “innovative” “unprecedented” が特にそのような増加に寄与していたそうです。その他、興味深い発見としては、ジャーナルによって程度に多少差が認められた、英語圏外からの論文で肯定的用語の使用が有意に高かった、否定的用語(‘disappointing’、‘pessimistic’)は1.3%から3.2%とやはり上昇が認められているが、neutral、randomな用語の使用に関しては特に変化はなかった、などが含まれています。また出版物のなかでも書籍にはこれらの傾向は認められなかったそうです。


これらの結果をどう解釈するかはそれぞれの視点にもよりますが、著者らは、この現状から、サイエンティフィックライティングがどのような進化をたどっているかが分かる、と述べています。つまり、このような傾向を助長している一因として、出版されるためのマーケタビリティーがあげられることから、科学的知見を記述する用語の使用目的が現実的にその内容にもとづくものでなくなってきている、ということが考えられます。また、もしすべてが ‘robust’ や ‘novel’ といった言葉で示されるようなら、発見の質的相違が見分けられなくなる、という点が問題として提起されます。

全文はこちらから。

Original article: http://www.bmj.com/content/351/bmj.h6467


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Posted on December 28, 2015 by proedit


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間違いやすい単語 1

Posted on November 30, 2015 by proedit


Editingの仕事にたずさわっていると毎日、読んだり書いたりしているのですが、あれ、どっちだっけ、とか、これってどうなんだろう、と思うことがよくあります。間違ったら大変なので毎回きちんとチェックするのですが、そうすると、前にも確かめたことがあったことに気付いたりすることも少なくありません。そのような間違いやすい単語や用語の使用法についてこれから機会があったら記していこうと思い、今回はその第一回目です。


Regretfully, or Regrettably?


たとえば、「残念ながら…」と言う時に、”regret” はわりとすぐ浮かびますよね、そしてその副詞形だから、Regretfully かな… とそこで、いや、Regrett..ably! だった、と。でも考えているうちに不確かになってしてしまうこと、実はネイティブスピーカーでもよくある(と思う)のです。


最初のほうは、”feeling of regret”の意味です。Regretful が形容詞で、意味は「後悔している、残念そうな、悲しんでいる」。副詞形は「残念そうに(言う、など)、悔やんで」という意味でつかわれます。

例:sigh regretfully 残念そうにため息をつく (研究社 新英和中辞典).


Regrettablyは、”unfortunately” という意味です。私が最初に日本語で「残念ながら…」の意味で使いたかったのはこっちでした。誠に遺憾ながら、という訳もされています。”much to my regret…” “with sincere regret…” などと同義です。ちなみに、こちらの形容詞は、Regrettable で、その意味は、「悔やまれる、残念な、悲しむべき」です。


微妙な違いは文例でなんとなく理解するほうが説明するよりわかりやすいかもしれません。

Regretfully they said their farewells.

Regrettably I did not have enough money to buy it.

[参照:Bryson’s Dictionary for Writers and Editors]


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Posted on November 22, 2015 by proedit


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What is “good writing”?

Posted on October 17, 2015 by proedit


医学科学系の論文は通常英語で出版されます。

そこで、たいていの論文規定では、英語が第2カ国語の著者は、ネイティブ/プロフェッショナルの校正者によるチェックを通すことがすすめられており、最近では、その最終チェックをほぼ必須とする、またはそのようなサービスを紹介する傾向がみられます。

なぜ ’Good English’ であることが大事かというと、もちろん、著者の研究が正確に理解されるため、というのが大きな理由ですが、それ以前に実際の読者を増やすため、という点もあげられます。

題名やアブストラクトに文法的エラーやスペルミスが含まれることはまれでも、わかりにくい題名、読みにくいアブストラクト、というだけで読み手はその論文に対する興味、敬意を失ってしまいます。 つまり、研究内容や結果の実際の質にかかわらず、読まれるチャンス、参照されるチャンスがぐんと減ってしまうのです。

では ‘Good English’とは具体的にどういう意味なのでしょうか?

別の言い方をすると、なにを基準にgood writingであるかそうでないかが決まるのでしょうか。

ここでは、BioMed Central ウェブサイトにまとめられている「言葉の障壁を克服する」を紹介します。

Good writingとは、つまるところ、「簡潔でわかりやすい」ということです。

とにかくシンプルに!です。シンプルな文章は一般に複雑な文章よりも明快であり、正確、簡潔です。特に、高度な内容を執筆する場合は、不必要に複雑な表現を使わないことに注意します。


~より明快、正確、簡潔な論文を書くための方法~


1文には1つのアイデアのみを記す。

受動態ではなく能動態をできるだけ使う。

不必要または曖昧な言葉は排除し、より具体的な言葉を使う。

回りくどい文章や冗長な表現は避ける。


このように、科学のgood writingには、クレバーな言い回しや豊富な語彙、文学的な表現は含まれていません。そして、わかりやすい英文とは、シンプル(「明快、正確、簡潔」)な文章を意味します。

最後に、proofreader や editor はなにを改善する手助けをするのかというと、まず、プルーフリーダーは、基本的にエラーフリー(文法的ミスやタイポがない)であることをチェックします。ネイティブスピーカーによるプルーフリーディングでは、それに加えて、英語でナチュラルではない単語や表現なども修正されます。

それに対して、エディターは、original writing そのものを改善する目的で editing (content editing) も併せて行います。 プロフェッショナルのサイエンティフィックエディターは分野における理解や経験をもとに、科学的英語表現が正確かつ的確であることも加えてチェックします。

論文を執筆する際は、要点を漏れなく網羅しつつ、できる限り端的にまとめましょう。わかりやすさは客観的な基準ともいえます。第三者に必ず目をとおしてもらうことをお勧めします。 


(参照:BioMed Central http://www.biomedcentral.com/authors/language)

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Posted on September 17, 2015 by proedit


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Abecedarius

Posted on August 22, 2015 by proedit


Abecedarius、はご存知でしょうか?

子どもにアルファベットを教えるための入門書、アルファベットブック、または、規則的な順番のアルファベットの文字で始まる行がある詩、などを指します。

Abecedarius の特徴としては、アクロスティック(acrostic)であるということです。

アクロスティック、日本語では「折句(行頭の文字をつづると語になる詩)」というそうですが、これは、各行の最初の文字を並べると、語句や文になるようにする言葉遊びやポエムのことです。なので、Abecedarius の場合、最初のレターが A からはじまり、B、C、D、…とアルファベットの順番でつづくのです。なかでも有名なのが Shaker Abecedarius で、これは、”A Peaceable Kingdom”という有名な絵本で出版されているので、見たことがある方も多いと思います。


Alligator, Beetle, Porcupine, Whale,

Bobolink, Panther, Dragonfly, Snail,

Crocodile, Monkey, Buffalo, Hare,

Dromedary, Leopard, Mud Turtle, Bear,

Elephant, Badger, Pelican, Ox,

Flying Fish, Reindeer, Anaconda, Fox,

Guinea Pig, Dolphin, Antelope, Goose,

Hummingbird, Weasel, Pickerel, Moose,

Ibex, Rhinoceros, Owl, Kangaroo,

Jackal, Opposum, Toad, Cockatoo,

Kingfisher, Peacock, Anteater, Bat,

Lizard…


と、このように、最後のZ(Zebra)の行までつづき、終わります。

19世紀ころ、信仰の自由を求めてアメリカに渡り、布教を続け発展したキリスト教団体がShakers、シェーカー教徒です。俗世間を離れ規律を重んじ農業や牧畜を中心にした自給自足の生活を送り、機能性を追求した美しい家具を生み出したことで知られています。このAbecedarius、意味をなさない不思議な動物の羅列、は子供達に読み書きを教えるという実用的な目的でつくられたとあります。なかには聞いたことも見たこともないような動物がなぜこの順番で??と登場するのが不思議なのですが、その韻 (rhyme)と、拍子 (meter) が、”helped students to learn and turned a chore into a pleasurable activity”ー これは、シンプルで、いずれコミュニティーの活動的なメンバーとなる子供達に実用性のあるスキルを身につけさせることを目的としたシェーカーズ独特の教育を反映しています。

この絵本は珍しい動物の名前と独特の美しい挿絵を目でおっていくだけでも楽しめる一冊です。


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Posted on July 31, 2015 by proedit


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Procrastination

Posted on July 20, 2015 by proedit


Procrastinationー何かをぐずぐずと遅らせている、ずっと先延ばしにする、という意味がありますが、”I’ve been procrastinating on this for days…” “Stop procrastinating and just write your paper!” という時などに使われます。仕事が山ほどあるのに、ふと掃除をしはじめたり、To do listを更新(何度目かの)してみたり、仕事のメールのチェックを…ときづいたらなぜか猫の動画をみている…と、これらは最近の自分のかなりあからさまなprocrastinationですが、さてペーパーを書くぞ、という段階で、データの資料の整理をあれこれしたり、文献を山のように集めてみたり、図書館に調べものにでかけたり、それで何日かすぎて、「まだ書き始めてないの?」と言われてはじめて、はっ、と気付かされる、実はこれもprocrastinationです。


“My advice is to never do tomorrow what you can do today. Procrastination is the thief of time.”

– Charles Dickens


「今日できることを明日まで伸ばすな」。もっともです。だからとって、現実的にそれでうまく切り替えられるものではありません。実際、なかなか作業にとりかかれない、効率よく論文作成をすすめるにはどうしたらいいのか、procrastination からなんとか抜け出したい、という悩みには、もっと建設的な、特定の対処が必要です。

そこで今回、”A Step by Step Guide to Writing a Scientific Manuscript” をみてました。出版を目的とした論文作成へのアプローチが順序だてて Step 1 から Step 11 まで説明されています。筆者によると、”We developed the aforementioned approach of writing articles over many years when coaching our M.D. and Ph.D. trainees, and it has worked very well, especially with inexperienced authors” とのこと。ただ誰にでも、というわけではないので、最後のほうには alternative strategies も記載されていますので、そちらのほうも参考になると思います。また、結論として、「多くの Editor-in-chief は長いディスカッションを好まない。本質的には(1)何をしたのか(2)何を発見したのか、が中心であり、ジャーナルによっては筆者の意見にはさほど関心を示さない。とりとめのない文章には査読者もうんざりする。ジェネラルストラテジーとして論文はできるだけ短くあるべきだ」と述べられています。ほかにも、役立ちそうな情報がうしろのほうにのせられていました。参考にしてみてください。


出典:”A Step by Step Guide to Writing a Scientific Manuscript” by Wenzel, Dünser and Lindner, at http://www.aaeditor.org/StepByStepGuide.pdf


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